消化器内科|医療法人社団一元会 佐々木記念病院|西所沢駅徒歩3分。乳腺外来、内科、消化器科、外科などの診療、健康診断や各種検査。

胃腸について

あなたの胃腸は?

消化器官は食物の消化と栄養素の吸収を担う体のシステムです。このシステムには、口、食道、胃、小腸、大腸、肛門などが含まれます。それぞれの役割を簡単に説明しますね。

口:食物の摂取と最初の消化工程が行われます。唾液に含まれる酵素が炭水化物の消化を開始し、歯は食物を細かく砕きます。

食道:嚥下された食物を胃へ運ぶ管です。食道は食物を押し下げるために波状の収縮を行います。

胃:強い酸と消化酵素を分泌し、食物をさらに分解します。胃酸はタンパク質の消化に重要であり、多くの微生物を殺す効果もあります。

小腸:消化の大部分と栄養素の吸収がここで行われます。小腸は非常に長く、表面積を増やすために襞や絨毛があります。

大腸:水分といくつかの栄養素の吸収が行われます。未消化の食物残骸はここで固まり、最終的には肛門から体外に排出されます。

肛門:体外に廃棄物を排出するための開口部です。

消化器系は他にも、肝臓、胆のう、膵臓などの器官が含まれ、これらは食物の消化に必要な消化液を生成し、代謝と栄養素の処理に関与します。全体として、消化器系は食物を消化し、体が利用できる形に栄養素を変換し、不要な物質を排除する重要な役割を果たしています。

消化器癌とは、消化器系に発生する悪性腫瘍(癌)の総称です。これには、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵臓癌、胆のう癌などが含まれます。消化器癌のリスク因子、症状、診断、治療について説明します。

リスク因子
食生活: 加工肉製品、高脂肪食、塩分の高い食事などがリスクを高める可能性があります。
喫煙: 特に食道癌や膵臓癌のリスクが高まります。
アルコール: 過度のアルコール摂取は、特に食道癌や肝癌のリスクを増加させます。
肥満: 大腸癌などのリスクが高まることが知られています。
家族歴: 特定の消化器癌の家族歴がある場合、リスクが高まる可能性があります。
年齢: 高齢になるほどリスクが増加します。
感染症: ヘリコバクター・ピロリ菌の感染は胃癌のリスクを高めるとされています。

症状
消化不良
体重減少
腹部の不快感や痛み
便の変化(下痢、便秘、便の形状の変化)
出血(血便、吐血)
黄疸(特に肝癌や膵臓癌)
診断
内視鏡検査: 胃癌や大腸癌の診断に使用されます。
画像検査: CTスキャン、MRI、超音波検査などがあります。
生検: 疑わしい組織のサンプルを採取し、顕微鏡下で調査します。
血液検査: 肝機能検査、腫瘍マーカーなどがあります。

治療
手術: 癌の除去を目指します。
化学療法: 癌細胞を破壊する薬剤を使用します。
放射線療法: 高エネルギー放射線を使って癌細胞を破壊します。
標的療法: 特定の癌細胞の特徴を標的とする治療法です。
免疫療法: 体の免疫システムを活用して癌を攻撃します。
早期発見が鍵となりますが、多くの消化器癌は初期段階では症状が少ないか無症状であることが多いです。定期的な健康診断やリスク因子に応じたスクリーニングが重要です。

経鼻内視鏡

当院では、平成20年7月より経鼻内視鏡検査を行っております。

佐々木記念病院では、平成20年7月より経鼻内視鏡検査を行っていました。

・吐き気が少ない
・検査中に話ができる
・体にやさしい
・すぐに仕事や家庭に戻れる

このようなアンケート結果があり、鼻からの胃カメラ検査を希望する人がたくさんいました。

患者様のコメント~平成19年経鼻内視鏡検査アンケートより~

経鼻内視鏡検査アンケートによる、患者さんのコメントを紹介されていました。

大腸CT検査

大腸癌(大腸がん)は、大腸の内壁から始まる悪性の腫瘍です。世界中で発生し、特に先進国で多く見られる癌の一つです。大腸癌のリスク因子、症状、診断、治療について詳しく説明します。

リスク因子
年齢: 50歳以上でリスクが高まります。
家族歴: 大腸癌の家族歴がある場合、リスクが増加します。
遺伝性疾患: ファミリアルアデノーマトーシスやリンチ症候群などの遺伝的疾患。
食生活: 高脂肪・低繊維の食事、加工肉や赤肉の過剰摂取。
肥満と運動不足: 体重が多く、活動量が少ない。
喫煙とアルコール: 過度の喫煙やアルコール消費。
炎症性腸疾患: 潰瘍性大腸炎やクローン病など。
症状
便の変化: 長期間の下痢や便秘。
血便: 便に血が混じる。
腹部の不快感や痛み: ガスのたまりや腹痛。
体重減少: 明確な理由なく体重が減る。
疲労感: 通常よりも早く疲れる。
便通異常: 便の形状が変わる(細くなるなど)。
診断
大腸内視鏡検査: 最も確実な診断方法。
便潜血検査: 便に微量の血があるかをチェック。
画像検査: CTスキャン、MRI、超音波検査など。
生検: 疑わしい組織のサンプルを取って検査。
治療
手術: 癌の除去。初期の大腸癌では根治が可能。
化学療法: 癌の進行を抑え、残存癌細胞を破壊。
放射線療法: 通常は直腸癌で用いられます。
標的療法: 特定の癌細胞の特徴に作用する治療。
免疫療法: 体の免疫システムを活性化して癌と戦わせる。
大腸癌の予防には、健康的な食生活、適切な体重と運動習慣の維持、禁煙、アルコールの適度な摂取などが有効です。また、定期的なスクリーニングを行うことで、早期発見と治療が可能になります。大腸癌のスクリーニングは、一般的には50歳から開始されることが推奨されていますが、家族歴や遺伝的要因がある場合はより早く開始することが重要です。

ピロリ菌

ピロリ菌(Helicobacter pylori)について

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息する細菌です。1980年代に初めて発見され、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの胃腸疾患との関連が明らかにされました。ピロリ菌は胃酸の強い酸性環境でも生き残ることができる特異な性質を持っています。

ピロリ菌の感染は世界中で広く見られ、特に発展途上国では感染率が高い傾向にあります。感染経路は完全には解明されていませんが、口から口への接触や汚染された食物・水を通じて感染する可能性があります。

この菌は以下のような症状や病気と関連しています:

胃潰瘍と十二指腸潰瘍:ピロリ菌は胃の粘膜を損傷させ、潰瘍を引き起こすことがあります。
胃炎:慢性的な胃の炎症を引き起こすことがあります。
胃癌:長期にわたる感染は、胃癌のリスクを高めるとされています。
ピロリ菌の感染は、血液検査、便検査、呼気検査、胃内視鏡検査などによって診断されます。感染が確認された場合、抗生物質とプロトンポンプ阻害薬を組み合わせた治療が一般的に行われます。この治療は、菌の除去と症状の緩和を目的としています。

感染予防のためには、手洗いの徹底や安全な飲食物の摂取が重要です。また、家族間での感染が起こることもあるため、家庭内の衛生管理にも注意が必要です。

当院での取り組みの歴史

佐々木記念病院では、過去の取組にも歴史を紹介されていました。

過去3年10ヶ月の間に当院で H. pylori 検査を希望した総数は2,391例で、全内視鏡症例(上部消化管)の47%にあたり、約半数が希望したことになり、関心の高さを示していた。年度別推移では、1994年には16%にすぎなかったものが1995年には89%と爆発的に増加し、その後漸次降下していたのが興味深かった。佐々木記念病院では、内視鏡検査前に H. pylori 検査並びに除菌について自費診療であるとの充分な説明を行い、尚かつパンフレット等を渡し了解と希望により行っていたが、多くの方々は説明する以前に検査を希望してくるのが現状であった。判定方法はCLO、鏡検、培養の3者にて行われており、13C尿素呼気試験は苦痛なく有用だが内視鏡検査時に行っている現状では呼気テストの機会が少なく、今後の課題であると考えられていた。H. pylori 陽性率は全平均49.7%と半数が陽性であり、なかでも潰瘍群は約70%の陽性率と高く、諸家の報告と同様であった。胃炎群では萎縮性胃炎が61.9%と他の胃炎に比べ高く、明らかに異なっていた。発癌の問題を含め、萎縮性胃炎に関しては長期的で臨床的経過観察と検討が必要と思われ、今後症例を重ねる意向であった。年齢的陽性率の結果においては、41歳以降の陽性率が60%近くと高く、61歳を過ぎると47%と低下する傾向にあったのが注目されていた。当院での除菌治療希望者は、前年度に7割近くに達しており、H. pylori 検査希望者が漸減していることを考えると、その関心の方向が年とともに変化していたと思われる。即ち、H. pylori の存在が広く一般的に普及した結果、除菌治療を目的とした H. pylori 検査の割合が増え、その傾向は潰瘍患者のみならず他疾患でも同様で、陽性者の大部分が除菌を希望していた。

重要な除菌結果では、前年および一昨年に96%以上に達し、満足すべき結果であった。この2年間の除菌方法はいわゆる3剤によるNew Triple Therapyで、1週間のみの内服としていたが、除菌率から見てこの方法で充分であったと考えられていた。今後は長期的な観察を行い、再感染の問題などに取り組むつもりであった。また、粘膜保護剤としてポラプレジンクを使用し評価を行っていたが、非使用群との間に差を認めなかったことも注目されていた。

まとめ

佐々木記念病院では、上部消化管内視鏡検査を受けた47%、約半数が H. pylori 検査を希望し関心の高さを示されたそうです。

疾患別陽性率は潰瘍群、萎縮性胃炎、胃癌の順で他の胃炎や正常群にくらべ著しく高いとされています。

胃癌発生との関係、再感染及び感染経路などに付き臨床的長期的観察と検討が必要であると考えられました。